小川絵梨子×成河×亀田佳明『タージマハルの衛兵』稽古場レポート

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演出・小川絵梨子、出演・成河×亀田佳明の二人芝居『タージマハルの衛兵』が、東京・新国立劇場 小劇場にて12月2日(月)・3日(火)にプレビュー公演が、12月7日(土)から23日(月)まで本公演が上演されます。その稽古場におじゃましてきました!

『タージマハルの衛兵』は、新国立劇場で 2015 年 12 月に上演された『バグダッド動物園のベンガルタイガー』の作家であるラジヴ・ジョセフが同年6月に初演した作品。今回が日本初演となります。

登場人物は、建設中のタージマハルを夜通し警備するフマーユーン(成河)とバーブル(亀田)のふたりだけ。幼馴染で親友の彼らの会話は時間が経つにつれてスリリングになり、やがてバーブルが不用意に発した一言を発端に、ある状況に追い込まれる――というストーリーです(翻訳は小田島創志さん)。詳しくはコチラ→https://www.nntt.jac.go.jp/play/guards_at_the_taj/

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この作品は、新国立劇場「ことぜん」シリーズの3本目でもあります。「ことぜん」とは"個と全"という意味合いで、「一人の人間と一つの集合体」の関係がテーマのシリーズです。

(詳しくはコチラ→https://00m.in/4aLWr)

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稽古が始まって3週間ほどというこの日、行われていたのは終盤~ラストの稽古でした。「このシーンは、演劇としてのドラマチックなトラップだらけ」と小川さんがふたりに話したように、戯曲に書いてある文字の奥にあるものがたくさん散りばめられている場面。それが届くように、演出の小川さんはひとつシーンを通す度に、成河さんと亀田さんの側に行き「ここの切り替えを丁寧にいきたい。いくらでも間(ま)があいていいので」「台詞の中で葛藤を感じるタイミングを少しずらしたい」「ここは目を見て話すバージョンも試してみたい」「この行動は、自分ですらいつそうするのかわからない」などなど、まさに一言一句という感じで、丁寧に演出をつけていきます。

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そんな小川さんに対して、積極的に言葉を返す成河さんと、静かに聞いて応える亀田さん。おふたりの反応は役と真逆です。成河さん演じるフマーユーンは寡黙、亀田さん演じるバーブルはおしゃべりな人物なのです。そんなふたりは幼なじみという間柄。小さい頃から一緒にいた友人同士の気の置けないやりとりと、タージマハルの衛兵としての立場のあるやりとりが混じり合いながら物語は進んでいきます。見ていると、人物としても会話の内容としても、それぞれがそれぞれを引き立てるような巧妙な戯曲と芝居だと感じました。

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稽古が進みラストシーンに差し掛かると、ふたりがジャングルで隊列からはぐれ、(見張り台のような雰囲気のオープンな)基地に避難してのんびりと語り合う場面に。そこで交わされる言葉から、ふたりの過ごしてきた長い時間、だから親友なんだろうなと自然と納得する空気、そしてこの物語の結末の理由まで感じられます。小川さんは「ここは大切なやりとり」「ここで出合う何かがないといけない気がする」と言い、3人でしっかり話しながら演出をつけていました。和やかで、けれど全く緩まない稽古場の雰囲気です。

ちなみにここは、基地で語り合うふたりが目の前に広がる自然に感動するシーンなのですが、稽古場には当然剥き出しのセットしかないのに、ふたりの台詞や表情で、そこに雄大な自然が生まれ、白檀の香りが漂い、鳥の群れが飛び立つ......演劇の素晴らしさを強く感じる場面でもありました。

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そしてついにたどり着いたラストシーン。ずっと大量の会話を交わしながら進んできたのに、ラストは台詞がなく、けれどどんな言葉よりも強いものが客席に流れ込んでくるようでした。小川さんも「素晴らしい!そう、ここに向かうんです!」と絶賛されていましたが、ここを観ただけでも、絶対に劇場で観たいと思わせる、胸を打たれるシーンでした。

戯曲も、演出も、演者もとても魅力的で、演劇の面白さを存分に楽しめる作品。ストレートプレイは好きだけど海外戯曲が苦手だという方にも観てほしいなと思います!ぜひ!!

『タージマハルの衛兵』は、12月2日(月)・3日(火)にプレビュー公演、12月7日(土)から23日(月)まで本公演を東京・新国立劇場 小劇場にて上演。

(取材・文 中川實穗

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