鳥公園の宣伝美術制作ドキュメント「長いチラシ」、プロセスのマネタイズが可能かを語る「6-2」は制作者にオススメ

鳥公園『終わりにする、一人と一人が丘』

鳥公園(本拠地・東京都)が2018年5月から不定期連載している「長いチラシ」。19年11月に上演する2年ぶりの新作『終わりにする、一人と一人が丘』に向け、宣伝美術の鈴木哲生氏が主宰の西尾佳織氏と対談形式で、創作に伴走しながら宣伝美術の制作ドキュメントを伝えています。従来のチラシやポスターだけではない、そこに至るまでの過程そのものが鳥公園の魅力だということを伝えようとする試みです。

鈴木氏は13年から鳥公園の宣伝美術を担当しており、個人サイト「tezzosuzuki.com」で過去作品を見ることが出来ます。このサイトではデザイナー自身の制作メモが添えられており、どのような着想でデザインしたのか、それが結果的にどうだったのかが語られています。そうした協業を経て、今回の方法が鳥公園に向いていると考えたのでしょう。このため、連載は鈴木氏自身のステートメントから始まっています。

アイデアが上演になる前、創作の段階にもっと見るべきもの、知らしめるべきものがある、ということでございます。それが、マス・マーケット向けの商品や他の演劇と違う、鳥公園に固有の隠れた見どころであると思った。

上演・1点の作品・結晶化した完成物を、視覚的に表現しプロモートするのにフライヤーやポスターのようなものが適しているというのは分かる。しかしその背後にある創作行為、つまり思考・素材の群れ・準備期間・稽古・打ち合わせのような、長い時間上に伸びているものを表現するには、また別の方法とメディアが必要になるだろう。それが「長いチラシ」である。

長いチラシ「-1」

こうしたアプローチをしているカンパニーはほかにもありますが、外部デザイナーのマターとして連載を進めるところが、鳥公園らしい展開だと感じます。多様な視点の対談が掲載されていますが、制作者にとってはプロセスのマネタイズが可能かを語っている「6-2」が興味深いのではないでしょうか。鳥公園は『終わりにする、一人と一人が丘』の助成金が不採択になり、ツアーの計画を縮小しました。それを受けて、助成の在り方についての考察もあります。

なるほど、こういうことを考えていたのかと思わせる内容で、そこで関心を持ってもらうことが、この連載の最大の効果だと思います。