東憲司の作・演出で日本の転換期をたくましく生き抜いた人たちを描く!『にっぽん男女騒乱記』 音無美紀子インタビュー

トムプロ音無さん

劇団公演以外でも次々に精力的に作品を発表し続けている桟敷童子の東憲司。トム・プロジェクトのプロデュース公演にも、『エル・スール』『満月の人よ』『砦』など骨太な作品を提供し続けてきたが、今年9月に、新作『にっぽん男女騒乱記』を作・演出する。
背景となるのは昭和27年、朝鮮特需で湧く日本。米軍キャンプから飛び立つ飛行機の爆音が響く町の外れにある、米兵専門連れ込み宿「さんふらわ」。そこを舞台に繰り広げられる、戦後日本をたくましく生きる男女の「騒乱記」。
その作品で、天真爛漫、豪快無比な連れ込み宿の女主人・千鶴を演じる音無美紀子に、東憲司の作品世界に初めて取り組む抱負を話してもらった。

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生活感のある役のほうが
好きなんです!

──昨年の『萩咲く頃に』の再演からほぼ1年ぶりのトム・プロジェクト公演ですが、前作での経験はいかがでしたか?
私は劇団にも所属していないし、大劇場での商業演劇が多かったので、こういうふうに、少人数でじっくり1つの作品に取り組ませてもらえる舞台に憧れていたんです。『萩咲く頃に』は出演者5人で、ほぼ全国各地を巡って、毎日違う土地でのお客様との出会いと一体感は、とても素敵な経験でした。
 
──その『萩咲く頃に』では良いお母さん役でしたが、今回の東憲司さんの作品では、役柄も一転、なんと基地の町の連れ込み宿の女主人です。
東さんの作品は、うちの村井(國夫)もよくご一緒していて、私も大好きですが、まさかこんなに早く出演させていただけるとは思わなかったです。どうやら東さんに村井が、「うちの音無にめちゃくちゃな喜劇をやらせてほしい」と言っていたらしくて、一体どうなることか、ちょっと心配なのですが(笑)。
 
──東さんの作品としてもちょっと異色で、あまり土着的な匂いがしないのかなと。米軍基地とその周辺の色街の話だそうですね。
時代設定が1952年ですから朝鮮戦争の真っただ中で、私の役は基地のそばで兵隊さん相手に連れ込みホテルを経営している女性なんです。かつての敵国の兵隊さん相手にそういう商売をしているわけですから、相当たくましくて肝の据わっている人で、私は実は、そういう生活感のある役のほうが好きなんです。だからこの役はとても楽しみです。

東さんとタッグを組んで
厚みのある物語に

──ポスターが派手でワイルドで、しかも出演者5人のインパクトが強いですね。
変顔しろと言われたんです(笑)。ここに写っている5人は、それぞれあの戦争とその後の日本の転換期を生き抜いてきた人たちという設定で、実際に私の父母や村井の両親も、そういう時代を生き抜いてきたわけです。今は、その時代のことを知らない人がどんどん増えていますが、そういう今だからこそ、東さんがこういう作品を作られるのは、とても素晴らしいと思います。
 
──キャスティングも面白くて、千鶴の夫役は高橋長英さんです。舞台では初共演だそうですね。
ドラマでは共演しているのですが、舞台は初めてなんです。村井と俳優座養成所の同期で、ふだんから親しくさせていただいているので、夫婦役はどこか恥ずかしいのですが(笑)。お芝居がすごく好きな方なので、私もしっかり演じたいと思っています。
 
──さらに興味深いのが上原理生さんで、ミュージカルで人気の男優さんです。
上原さんは復員兵の役で、千鶴に助けられて慕っているのですが、でもこういう仕事をしている千鶴が受け入れられないという青年です。先日、上原さんが出演していらっしゃるミュージカルを拝見したのですが、ものすごく歌が上手でびっくりしました。ストレートプレイは今回が初めてだそうで、共演が楽しみです。真山章志さんと小林美江さんとも初めましてなので、新鮮な座組になりそうです。
 
──そんなメンバーで取り組むこの作品のアピールをぜひ。
東憲司さんの世界も、千鶴という役柄も、自分の中では初めて挑むものなので、とてもワクワクしています。東さんとがっちりタッグを組んで良い作品にしたいと思いますし、5人という少ない人数ですが、それを感じさせない厚みのある物語を作り出したいです。ぜひ楽しみに劇場にいらしてください。

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おとなしみきこ○東京都出身。71年、TBSポーラテレビ小説『お登勢』のヒロイン役でデビュー、以後、多くのテレビ、映画、舞台で活躍。近年の主な舞台は『女たちの忠臣蔵』『佐賀のがばいばあちゃん』『三丁目の夕日』『岸田國士小品選』『善人なおもて往生をとぐ 親鸞わが心のアジャセ』『女は遊べ物語』『萩咲く頃に』『菊次郎とさき』『おたふく物語』など。


〈公演情報〉
トムプロPR
 
トム・プロジェクト プロデュース
『にっぽん男女騒乱記』
作・演出◇東憲司
出演◇音無美紀子 真山章志 小林美江 上原理生 高橋長英
9/5~12◎東京芸術劇場シアターウエスト
〈お問い合わせ〉トム・プロジェクト 03-5371-1153
地方公演あり 9/15◎藤沢市 湘南台文化センター市民シアター 
〈お問い合わせ〉0466-28-1135



【取材・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】


『おとぎ裁判』


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