荻田浩一の新作、彩乃かなみ&藤岡正明らで上演決定


『王家の紋章』といった大型ミュージカルからストレートプレイ、ショー、コンサートなど幅広いジャンルで活躍する作・演出家 荻田浩一が、十数年あたためてきたという新作『朗読(クローゼット)ミュージカル 不徳の伴侶 infelicity』を、彩乃かなみ藤岡正明らの出演で上演する。

作品は、16世紀に実在したスコットランドの女王メアリー・スチュアートと、彼女の3度目の配偶者であるボスウェル伯ジェームズ・ヘップバーンの物語。生後6日でスコットランドの王位を継承、その後フランスの王妃となり、再婚を繰り返したのち故国を追われ、最後には血縁であるエリザベス一世により処刑された女王の数奇な人生を描き出す。このモチーフに挑む心境を、荻田は「大河ドラマ的な歴史劇の奔流と運命的かつ抒情的なメロドラマの細流が深く交わり入り乱れる悲劇の女王の軌跡を、自分なりに辿ってみたいと思いました。それはあたかも、美しくも寂しく、うら悲しいスコットランドの湿地を渉猟し、深い想いを静謐の内に湛えた湖を眺めるような心持ちです」と語る。

"朗読(クローゼット)ミュージカル"と冠するが、キャストは彩乃、藤岡、そしてシルビア・グラブという、歌唱力の高いキャストが揃い、さらに注目の若手俳優・百名ヒロキも名を連ねる。加えて、名ダンサーである舘形比呂一吉本真悟もキャスティングされているので、単なる朗読劇にはならないであろうことは、明白だ。荻田も「朗読形式とは言え新作ミュージカル」であると名言。

その音楽を手がけるのは、荻田が「盟友」と呼ぶ福井小百合。作曲はもちろん、数多くのミュージカルで歌唱指導も手がける彼女は「美しく着飾った貴族のドレスの裏にひそむ愛と政治と人間模様。最初に頭に巡ったのは16分音符や3連符ので編み上げたレースのようなメロディー。それでいてやや不穏なハーモニー。くるくると目まぐるしく入り乱れる人間のfront sideとback side」と構想を語り、「音楽で、言葉を叙情的にしたり、風景をメロディーで紡いでゆき、お客様とともに荻田ワールド観を共有できることを心から楽しみにしております」と期待を話した。

美しさと毒っ気を内包する繊細な世界観で"荻田ワールド"と称される、荻田の作品群。今回は、客席数200弱の赤坂RED/THEATERでの上演のため、いつも以上に濃密な"荻田ワールド"を体感できるに違いない。めくるめく世界が繰り広げられるのを楽しみに待ちたい。

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◆ 荻田浩一 コメント ◆


『不徳の伴侶』によせて。


16世紀に実在したスコットランドの女王メアリーと、彼女の三度目の配偶者であるボスウェル伯ジェームズ・ヘップバーン。二人の物語を描きたいと思ったのは、もう十数年も前の事です。
2004年に『マルゴ』という、メアリーにとっては義妹となるフランス王女にして王妃となった女性、マルグリット・ド・ヴァロワの物語を紡いでから、次に対峙するならメアリー・スチュアートを、と願っておりました。

生後六日でスコットランドの王位を継承し、一度はフランスの王妃となりながら18歳で寡婦として帰国。再婚を繰り返し、26歳には故国を追われ、イングランドに逃亡。
20年の長きに渡る軟禁を経て、遂には血縁者であるエリザベス一世により処刑されるのです。
時代は絢爛にして激動のルネサンス期。
ヨーロッパは新しい時代の到来に備え、国家・王統の再編が活発でした。
大河ドラマ的な歴史劇の奔流と運命的かつ抒情的なメロドラマの細流が深く交わり入り乱れる悲劇の女王の軌跡を、自分なりに辿ってみたいと思いました。
それはあたかも、美しくも寂しく、うら悲しいスコットランドの湿地を渉猟し、深い想いを静謐の内に湛えた湖を眺めるような心持ちです。

今回、朗読形式とは言え新作ミュージカルです。
演じ手は同時に素晴らしい歌い手でもあります。
はじめに物語を考えてから、ずっと彼女にメアリーを演じて欲しかった女優、彩乃かなみさんの出演は、この上もない幸せです。
芝居の現場でガッツリ出会いたいと願っていた藤岡正明さんがボスウェル伯、野性的な大胆さにナイーブな心情が滲み出ることでしょう。
メアリー最大のライバルにして理解者、聡明さと冷徹さに激情を秘めたイングランド女王エリザベス一世にはシルビア・グラブさんです。溢れるパワーに豪気と艶っ気を偲ばせて下さるのでは。
この三人の歌声を主軸に、濃密な空間を作り上げていきたいと思います。
また、思いがけず異色の出演者に恵まれました。
まさかの舘形比呂一さん、本当に?の吉本真悟さん。ともに踊り手として名を馳せる二人が、どう朗読の場に生きるのか、私自身が楽しみでたまりません。
そして、新鮮な輝きの百名ヒロキさん。物語の清純さと残酷さを同時に担ってくれる存在となりそうです。
盟友、福井小百合さんと共に挑む新作、早く皆様にご覧頂き、聴いて頂きたい気持ちでいっぱいです。
 

◆ 福井小百合 コメント ◆


荻田さんからずっと書いてみたいと温めていた題材があるんだ、と相談されたたのが、悲劇の女王として名高いスコットランド女王メアリーと愛人ボスウェル伯との恋を中心とした波乱万丈の世界でした。

美しく着飾った貴族のドレスの裏にひそむ愛と政治と人間模様。
最初に頭に巡ったのは16分音符や3連符ので編み上げたレースのようなメロディー。それでいてやや不穏なハーモニー。
くるくると目まぐるしく入り乱れる人間のfront sideとback side。

朗読は読み手次第で一瞬にしてタイムスリップもシーンの移動をも可能にします。
今回、歌唱力面でも朗読面でも強力に個性的な方にご出演頂けることになりました。

彩乃かなみさん。兼ねてから抱いております印象は美しいソプラノと上品な音の運び。ずっとご一緒したいと思っておりましたので、大変嬉しく思っております。
藤岡正明さん。張りのある高音と歌心を音にする表現の巧みさは特に信頼しております。
シルビアさん。丸くてアパッショナートな歌唱力と兼ね添えた中音域より下の安定感を存分に活かしてくださると今から楽しみです。
そして、若きホープの百名ヒロキさん。なんと舘形比呂一さんと吉本真悟さんというダンス界の貴公子。

瑞々しく、煌びやかで、ダンディーで、ダンスが上手くて...の方々がご参加下さることで、詠み手、歌い手、踊り手、が揃ったわけですから、視覚、聴覚、感覚をそれぞれにご堪能いただけるような新しい朗読音楽劇になります。

朗読だからこそ見える風景、朗読だからこそ委ねられる感性。
音楽で、言葉を叙情的にしたり、風景をメロディーで紡いでゆき、お客様とともに荻田ワールド観を共有できることを心から楽しみにしております。
 


【公演情報】
5月29日(火)~6月3日(日) 赤坂RED/THEATER(東京)

【作・演出】荻田浩一
【作曲】福井小百合
【出演】
彩乃かなみ...スコットランド女王メアリー・スチュアート
藤岡正明...スコットランド貴族、ボスウェル伯ジェームズ・ヘップバーン
百名ヒロキ...仏王フランソワ一世/夫ロバート・ダーンリ/息子ジェームズ一世
舘形比呂一...兄ジェームズ/義母カトリーヌ・ド・メディシス
吉本真悟...イタリア人秘書リッチォ/スペイン王太子ドン・カルロス
シルビア・グラブ...イングランド女王エリザベス一世