【マタ・ハリ通信(13)】ラドゥー役、佐藤隆紀インタビュー

チケット情報はこちら


■ミュージカル『マタ・ハリ』特別連載(13)■


稽古場レポートやキャストインタビューから作品の魅力に迫るミュージカル『マタ・ハリ』 連載。
開幕が目前に迫ってきましたが、今回は、ラドゥー役 佐藤隆紀さんのインタビューをお届けします。
(ラドゥー役は、加藤和樹さんとのWキャストです)

LE VELVETS(ル ヴェルヴェッツ)のメンバーとして活躍する佐藤さんですが、2014年『タイタニック』からミュージカル界にも進出。その確かな歌唱力と存在感で、重要な役どころに次々とキャスティングされています。

深みのある歌声で、実年齢より上の役柄を任されることも多い佐藤さんですが、今回演じるのはフランス諜報局の大佐ラドゥー。
大戦中という状況下で、責任ある立場である壮年の男性を、どう魅せてくれるのでしょうか。

佐藤さんに、役柄について、作品について、そしてWキャストの加藤和樹さんの存在についてなどを伺ってきました。

● 佐藤隆紀 INTERVIEW ●

mata13_1_DSC5638.JPG
―― もうだいぶお稽古も進んでいますが、現在の心境は。

「模索の日々です。演出の石丸(さち子)さんによく「甘くなりやすい」と言われています。自分はそんなつもりはないのですが、稽古場だとひとつのシーンを切り取ってやることが多いですよね。全体の流れの中でやるとちゃんと感情が動くのですが、部分部分を切り取ると、ちょっと甘くなっちゃうのかな。......素が出ちゃうんでしょうか(笑)。でもそういう時でもしっかりキャラクターを捉えてやらないと、と今はすごく感じています」


―― お稽古場で拝見しましたが、それにしてもさすがの歌唱力でした。あれだけ歌い上げられると、気持ち良いのでは?

「気持ち良いですね~! ただ、気持ち良い分、逆に一辺倒にならないようにしなければ、と最近感じています。フランク・ワイルドホーンさんが作ったこの作品の音楽は、大曲揃い。ですので、観ていてコンサートみたいになってしまう危険性がある。一曲ずつに込められた伝えたい内容を、ちゃんと伝えていかないと、曲に飲まれてしまいます。曲が素晴らしい分、しっかり "芝居歌" にしなきゃいけないなとはすごく感じています」

―― 演じるのがラドゥー大佐。どんな人物だと捉えていますか?

「国を思う気持ちが強くあり、戦友を思う気持ちもある。でも、常に圧力が上と下からかかっている状態で日々を過ごして......やっぱり、どこか狂ってしまう部分も出てくる。そういう人だと思って演じています」


―― 狂ってきちゃうんですか。

「普通じゃない判断をしていく、とかですね。例えばマタ・ハリに会ったことでさえ、もし平常な状態であれば、恋に落ちなかったかもしれない。奥さんもいる男なので。ただ、パンルヴェ首相からもプレッシャーをかけられ、自分の采配ひとつで何千、何万もの人が死んでいくという極限状態に追い込まれた中で、マタ・ハリがひとつのオアシスになっていく......そういう感じだったんじゃないかと。安らぎを求め、狂ってしまう」
mata13_2_DSC5597.JPG

―― オアシスという表現が興味深いです。劇中でラドゥーはマタ・ハリに執着していますが、基本的には火花を散らしあっている相手ですよね。どこにオアシス要素を見出したんでしょうか。

「ラドゥーがマタ・ハリをスパイとして使えるかもしれないと調べだしたのは、この物語よりもっと前だと思うんですよね(物語は、ラドゥーがマタ・ハリのもとを訪ね、スパイになることを要請するところから描かれる)。マタ・ハリのことをたくさん調べて、調べて、その時点でもうこの女性にもう魅入られていて、そんな状態で最初、彼女に会いに行っていると僕は思う。最初から惹かれていたんだと思って、演じています。もちろん最初は仕事として会いに行っていますから、あまり表には出さずにいますが」


―― そのオアシスたる柚希礼音さんのマタ・ハリはいかがですか?

「やっぱり、強い女性だなと感じます。ラドゥーを軽蔑する顔とか、本当に「くそぉ!」と思う、素晴らしい表情をされますし(笑)、そういうところもちゃんと受け取って、僕も返していかなきゃと思います」


―― そしてラドゥーという役は、加藤和樹さんとWキャストですね。佐藤さんがミュージカル・デビューした『タイタニック』の主演が加藤さん。その方とWキャストになる、ってすごいですね。

「本当に、嬉しいです。当時は芝居の面でも、加藤和樹君には色々と教えてもらいました。今でもアドバイスをもらっています。今考えると『タイタニック』の時は、何もわからないで舞台に立っていました。今だったら「それって、普通じゃない?」って思うことも、わからないでやっていた。ですので、もし『タイタニック』ぶりに僕の出演作を観る方がいたら、その変化を見ていただきたいなと思います(笑)」
mata13_3_DSC5607.JPG

―― 『タイタニック』では恋人と婚約中の初々しい男性の役でもあったので、フレッシュでキュートでぴったりではあったんですが、今回はどっしりした大人の男性の役を、素敵に演じていらっしゃいます。『エリザベート』なども経て、失礼な物言いですが本当に成長なさっているなと思いました。

「光栄です。芝居は本当に自信がなくて......(やっている以上)「自信がない」と言ってはいけないと思ってはいるんですけどね。自分はやっぱり歌手としてやっている、という軸がひとつあるのですが、だからと言ってお芝居が出来ないことを言い訳にはしたくない。ミュージカルに立たせてもらう以上は、最善を尽くして、お客さまが喜んでくれるパフォーマンス、芝居、歌をやっていきたい。そこは言い訳せずにちゃんと、つきつめていきたいなと思います。一生懸命、もがきながら頑張っています」


―― 最後に、佐藤さんが思う日本版『マタ・ハリ』の見どころはどこでしょうか。

「時代の中で強く生きたマタ・ハリという女性を通して、この時代を体感していただき、彼女の壮絶な人生を感じていただき、そして戦争というものに翻弄されていくさまざまな人たちを見ていただきたい。今、戦争というものを実際に体験した方がどんどんいなくなっています。僕ら世代でギリギリだと思うんです、上の世代の方から体験談を直接聞いたり、ということは。そんな中、戦争というものの悲惨さをこの作品をとおして、何かしら感じていただければと思います。戦闘パイロットたちが飛行機で飛び立っていくところなどは、僕も見ていてぐっときます。死ぬかもしれないとわかっていつつ、それでも国のためにと戦いに飛び立っていく。美談のように聞こえるかもしれませんが、けして美談のひと言で終わることではない。そういう、色々なことを考えさせられる作品でもありますので、皆さんも色々なものを受け取っていただけたら嬉しいです」

mata13_4_DSC5594.JPG

取材・文:平野祥恵(ぴあ)
撮影:源賀津己
 


【『マタ・ハリ』連載バックナンバー】
#1 顔合わせレポート
#2 芝居読み稽古レポート
#3 稽古場レポートその1
#4 演出家・石丸さち子に訊く
#5 ラドゥー/アルマンの2役に挑む! 加藤和樹インタビュー
#6 ピエール役、西川大貴インタビュー
#7 ピエール役、百名ヒロキ インタビュー
#8 稽古場レポートその2
#9 ヴォン・ビッシング役、福井晶一インタビュー
#10 パンルヴェ役、栗原英雄インタビュー
#11 アンナ役、和音美桜インタビュー
#12 アルマン役、東啓介インタビュー
#13 ラドゥー役、佐藤隆紀インタビュー


【公演情報】
・1月21日(日)~28日(日) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)
・2月3日(土)~18日(日) 東京国際フォーラム ホールC


★『マタ・ハリ』大阪・東京両公演 撮影OKカーテンコール実施決定!★

大阪公演、東京公演での下記対象日程にてカーテンコールに限りお客様ご自身で撮影が可能になります!

[大阪]
1月21日(日)15:00
  Wキャスト:加藤和樹(ラドゥー)、
       東啓介(アルマン)、西川大貴(ピエール)

1月24日(水)13:00
  Wキャスト:加藤和樹(アルマン)、
       佐藤隆紀(ラドゥー)、西川大貴(ピエール)

[東京]
2月3日(土)12:00
 Wキャスト:加藤和樹(アルマン)、
      佐藤隆紀(ラドゥー)、西川大貴(ピエール)
2月3日(土)17:00
 Wキャスト:加藤和樹(ラドゥー)、
      東啓介(アルマン)、西川大貴(ピエール)

チケット情報はこちら