新しい「ゴツプロ!伝説」への第一歩。『三の糸』塚原大助、かなやす慶行、44北川、山野海インタビュー

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上段/44北川、佐藤正和、渡邊聡、浜谷康幸
下段/かなやす慶行、塚原大助、山野海、泉知束
 
40代の粋な男性俳優で結成された劇団「ゴツプロ!」。その第3弾公演『三の糸』が、2018年1月10日から本多劇場にて上演される(その後、大阪・近鉄アート館、台湾・華山1914文創園区 東3館 烏梅劇院の公演へ続く)。
演出は山野海(脚本名義は竹田新)。2016年の小泉今日子の初演出作品『日の本一の大悪党』で脚本を務めた。新橋生まれ、昭和40年代の活気に満ちた下町の風を受けて育ち、生きるパワーを舞台に炸裂させるエネルギッシュな作風が特徴だ。今作では三味線のある流派の男たちの、7世代にわたる血脈の真実を描きす。

【あらすじ】
苔むす山奥に住む7人の男たち。ほの青い月光に照らされながら男たちは、ただひたすらに津軽三味線を弾く。言葉などとうの昔に忘れたかのように。
夢を、希望を、後悔を、懺悔を三本の糸に、すべてを託して…

この作品に出演する劇団主宰の塚原大助、劇団員のかなやす慶行と44北川、そして演出の山野海に、『三の糸』公演について話してもらった。

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かなやす慶行、塚原大助、山野海、44北川
 
おじさんたちに三味線を弾かせたかった

──第1弾の『最高のおもてなし!』ではハートフルな笑いあり涙ありの作品を、第2弾の『キャバレーの男たち』では戦後のアウトサイダーたちの話を力強く描きました。今回は『三の糸』というタイトルですが、モチーフはどこから?
山野 今回は、このおじさんたちに三味線を弾かせたいと思ったのが始まりです。津軽三味線は男の人のものという印象があって、それで合間を縫って劇団員に三味線を習ってもらいました。習ってもらったからには、三味線に絡ませた話にしないと殺されるので(笑)。
塚原 そうですよ(笑)。
山野 そこから『三の糸』というタイトルを思いつきました。三の糸というのは三味線の弦のことで、一の糸は一番低い音をだす糸、三の糸は一番高い音を出します。それを切り口に、物語を考えました。
──どんな物語になるのですか?
山野 明治の初期。一人の男の子が口減らしの為に苔むす山に捨てられてしまいます。そこで偶然津軽三味線に出会い、のちに万沢流という津軽三味線の流派を作ります。そして、三味線に魅せられた思いが子孫に脈々と受け継がれていく。三味線に魅了された一族のお話しです。なんて、こんな風に話すと、とても硬質な物語のように聞こえてしまうかもしれませんが、そこは私が書いているので、ちょいちょい馬鹿馬鹿しくてくだらない笑いが挟まってきます。

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日本人なら懐かしくなる津軽三味線の音

──それぞれが演じる役どころを話してください。
塚原 万沢流の家元の付き人、栗山を演じます。天然ボケの性格で、いいところのお坊ちゃんです。
山野 愛すべきバカだよね(笑)。グイグイ行くから失敗もするけれど、愛嬌があるから憎めない。塚原には珍しい役です。
塚原 そうですね。新しい役なので、まだ掴みきれなくてもがいています。栗山がどういう人間なのか、稽古で感じつつ演じたいですね。チャラい役だから、今までやったことのない役どころです。
かなやす 僕は万沢流の五代目の役です。今回の役どころ、あまり詳しくは言えないんですが、(作家としての)竹田新が僕らをこう見ているんじゃないかという節があって、キャラ同士の関係性がはっきりしていて、「ゴツプロ!」での僕らの立ち位置のニュアンスも含まれているような気がします(笑)。
北川 僕の演じる三代目は色んな事を全て丸投げして、台湾に出奔してしまう。そういう役どころです。セリフにもありますが、僕の役は、三味線に対しても、愛しているのに苦手意識があり逃げ出してしまう。僕自身も楽器は何ひとつ弾けなかったからぴったりだと思います。
──皆さんへの当て書きなのですか?
山野 それをやろうと思ったら時間がいくらあっても足りないですよ(笑)。お話は、浜谷康幸の演じる6代目と、その弟で7代目の佐藤正和と、塚原演じる弟子の栗山が苔むす山に入って行くところから始まります。
──津軽三味線の練習はいつ頃からしていたのですか。
塚原 本格的にまとまって練習し始めたのは今年に入ってからですね。「ゴツフェス!」(2017年5月)というイベントをした時に三味線を演奏してくださった小山豊さんに今作も指導をしていただいています。日本の津軽三味線の三大流派の一つ、小山流の三代目です。
──山野さんは三味線のどこに惹かれるのでしょう?
山野 津軽三味線の音が腹の底に染みわたると心躍るんです。日本人なら弾いたことがなくても懐かしくなる。そんな心に響く音をおじさん達で弾いたらかっこいいじゃないですか。
──皆さん一斉に演奏するシーンもあるのでしょうか?
塚原 『三の糸』というオリジナルの曲も小山豊さんに提供していただいて、みんなで合奏します。
かなやす 僕はヴァイオリンを習っていましたので、同じ弦楽器ですし、最初はできるだろうと思っていましたが、バチを叩くのが大変です。弦を押さえたり音を取るのは、感覚的にできるんですが、バチの右手の扱いにずっと苦労しています。
山野 糸と糸の間の幅が狭くて、弾き分けるのが大変だよね。
塚原 三の糸を叩くはずが二の糸を叩いたりしてしまう。
北川 僕なんかリズム感がないのに楽器をやっているので大変ですが、そこを本番までにしっかりするのが「ゴツプロ!」ですから。

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本多劇場での上演は次の夢へのステップ

──『キャバレーの男たち』の時のインタビューでは、本多劇場での上演が目標の一つでした。それが実現しましたね。
塚原 『キャバレーの男たち』が終わった2017年の2月から、そのために準備をしてきました。どうしたら成功できるのかを考えていたのですが、自分たちが最高の芝居をして、いつも通り楽しめて、そしてお客さんにおっさんたちが楽しそうにやっているのをお見せできたら嬉しいです。公演は大阪も台湾もありますが、いつものように我々らしい演技ができたらいいですね。
かなやす 本多劇場が決まる前までは、夢としての本多という劇場があった。でも、もはや夢ではなくて、“目的”に変わりました。けれど、「ゴツプロ!」は駅前劇場だろうが本多劇場だろうが「ゴツプロ!」なので、毎公演、たぎったエネルギーを表現する楽しみしかないですね。
北川 大助が海外に行きたいと言ったとき、三味線は武器になると思いました。そこから、三味線片手に本多劇場も台湾も乗り込んで行こうと。芝居も三味線も融合させて、日本だけじゃなくて、台湾でも毎年やれるような芝居を届ける。本多劇場での上演は、僕らの次へのステップですね。もう夢じゃない。
──その台湾公演ですが、どのようにして決まったのですか。
塚原 海外で公演したいとはずっと思っていましたし、台湾は上演したい国の1つでした。僕が台湾の視察旅行から帰ってきたら、たまたま、『最高のおもてなし!』の時に、台湾の人が制作に入ってくれたんです。台湾でも舞台の制作をされていたそうで、奇跡のようなご縁でした。「ゴツプロ!」を手伝ってくれて好きになってくれて、台湾にこの作品を売り込んでくれて、公演が実現したんです。会場となる「華山1914文創園区 東3館 烏梅劇院」は、日本人が戦前に建設した倉庫街にあります。今ではリノヴェーションされて、おしゃれなブランドのお店や映画館が、敷地内にある劇場なんです。
山野 その人に、どうして「ゴツプロ!」を好きになったのかと聞いたら、おじさんたちが楽しそうにしていて、本多劇場でやりたい!という夢を叶えたり、どんどん色んな事が現実になっていくのが面白い!と感じてくれて、こういうエネルギーのある人たちに、ぜひ台湾で芝居をしてほしいと思ったそうです。

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おじさんが本気で遊ぶとこんなに楽しくなると

──本多劇場、台湾での公演を含めて、これからどのような軌跡を描いていきたいですか。
塚原 上演する場所をもっと増やしていきたいです。海外もいろんなところに行ってみたい。目標は動員1万人なので、2021年までに是非とも達成したいです。
山野 私は1万人も夢じゃないと思うんです。「ゴツプロ!」がみんなにもっと知ってもらって、おじさんが本気で遊ぶとこんなに楽しくなるという、エンターテインメントを広めていきたいですね。
──それでは最後に意気込みをお願いします。
山野 先祖から現代までの血脈の話ですが、人間だけではなくて、生きとし生けるもの、動物も虫も人間も、1つの大きな生命の流れの中で、みんなが一緒に生きていると実感しています。それがお客さまに伝わればいいな。あとは三味線を弾いているゴツい男の横並びを楽しみにしていてください。
かなやす 「ゴツプロ!」ならではの、7人で1つの方向に向かっていく熱烈なエネルギーや匂いを感じていただきたいですね
北川 今作は、「ゴツプロ!」世界進出の第1弾だと思っているので、その伝説の幕開けをぜひ目撃してもらいたいです。
塚原 伝説の幕開けですし、第3弾という新たな第一歩です。津軽三味線という新たな武器を手に入れたおっさんたちの、熱量が1つに融合した時の爆発力を感じてもらいたいです。2018年もお客様と良い年にしたいですね。ぜひ観に来てください。

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かなやす慶行、塚原大助、山野海、44北川
 
つかはらだいすけ○1976年7月16日生まれ、東京都出身。2005年に新宿紀伊国屋ホールにて上演された、44 Produce Unit『フツーの生活 長崎編』 にて山野海と共演。それをきっかけに、ふくふくやの劇団員となる。2016年に「ゴツプロ!を旗揚げ、主宰を務める。同年、ゴツプロ合同会社を設立。2018年夏には『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~への出演が決まっている。

かなやすよしゆき○1996年にサラリーマンを辞めて俳優に転向。舞台以外でもドラマや映画でも活動している。また、劇団ふくふくやの劇団員でもある。代表舞台は『フツーの生活」『しがらみの向こうに」『フタゴの女」、ドラマ『相棒」『龍馬伝」『警視庁捜査一課9係」『仮面ライダーウィザード」など他多数に出演。

よしきたがわ○愛知県出身。主な出演舞台に『The Winds of God』、『中島淳彦 戦中戦後三部作「フツーの生活」』、『最高のおもてなし!』、『キャバレーの男たち』など。

やまのうみ○1965年9月16日生まれ、東京都出身。1999年に劇団ふくふくやを立ち上げ、看板女優として全公演に出演。竹田新名義で全作品の脚本も手がける。「ゴツプロ!」第1回公演『最高のおもてなし!』で演出家デビュー。『救命病棟24時』『八重の桜』など映像作品にも多数出演している。

【ゴツプロ!全メンバー】
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上段/44北川、佐藤正和、渡邊聡、浜谷康幸
下段/かなやす慶行、塚原大助、山野海、泉知束
 
〈公演情報〉
ゴツプロ!第三回公演
『三の糸』
作◇竹田新
演出◇山野海
津軽三味線演奏指導・「三の糸」オリジナル楽曲提供◇小山豊、小山会青年部
出演◇塚原大助、浜谷康幸、佐藤正和、泉知束、かなやす慶行、渡邊聡、44北川
●2018年1/10~14 ◎本多劇場
〈料金〉前売り6,000円 当日6,500円(全席指定・税込)
●2018年1/19~21 ◎近鉄アート館
〈料金〉前売り5,000円 当日5,500円(全席指定・税込)
●2018年2/22~25 ◎華山1914文創園区 東3館 烏梅劇院
〈お問い合せ〉070-6562-4480(11:00~19:00 日曜休)



【取材・文・撮影/竹下力】



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