新世代スタート時のメンバーも復帰! 『新春浅草歌舞伎』製作発表レポート

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2018年も、新年の浅草で若手花形俳優たちの熱気あふれる舞台が繰り広げられる!
江戸随一の芝居町であった浅草。80年の第1回公演以来、すっかりお正月の浅草を代表するイベントともなっている「新春浅草歌舞伎」が、2018年も1月2日から浅草公会堂で幕を開ける(26日まで)。

出演者は、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村梅丸といった、近年メキメキと力をつけてきている若手花形歌舞伎俳優の面々。そこに、今回も中村錦之助らが加わり、ベテランの存在感で舞台をぐっと引き締める。

歌舞伎の将来を担う若手花形たちが、芝居、舞踊を問わず大役に果敢に挑み、諸先輩の芸を受け継いでいこうとする新春浅草歌舞伎。おのずとそれぞれが初役に取り組むことが多くなるが、今回も初役尽くしとなる。
第1部は、兄・頼朝と不和となった義経が流転の旅を続ける「義経千本桜」の中から、愛妾・静御前と別れて義経が、忠信に静御前を託して京を発つ「鳥居前」。赤穂浪士たちの処遇を巡り、次期将軍と目される綱豊と、浪士の一人・富森助右衛の緊迫した応酬が見ものの「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」。第2部は、糸操りの人形が三番叟を踊る趣向の「操り三番叟」。家族の義理と情愛を描いた「双蝶々曲輪日記 引窓」。名匠・左甚五郎と人形の精の逢瀬を描いた、ファンタジックな舞踊「京人形」。古典、新歌舞伎、舞踊とバラエティに富んだラインナップである。

もちろん、新春浅草歌舞伎の楽しみの一つである、開幕前のお年玉<年始ご挨拶>(日替わり)も行われる。1月20日の第2部では、着物姿の来場客に記念品が贈られる「着物で歌舞伎」や、1月12日の第2部では地元の芸者衆がお客様をお出迎えする「浅草総見」も開催。舞台以外でも、お正月らしい賑わいムードの公演となりそうだ。

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後列 中村梅丸、中村米吉、坂東新悟、中村種之助、中村隼人 
前列 坂東巳之助、中村歌昇、尾上松也、中村錦之助

12月4日、都内でこの製作発表記者会見が行われた。出席者は、尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村梅丸、中村錦之助、安孫子正松竹株式会社専務取締役。それぞれから挨拶の後、質疑応答に移った。


[挨拶]

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尾上松也 
私どもの世代に受け継がせていただき、4年目です。今僕たちがこうして新春浅草歌舞伎をさせていただいているのは、先輩方のご苦労の賜物だと実感しました。ありがたいということに尽きます。この浅草歌舞伎は、浅草の皆さんと共に成長してきましたし、浅草歌舞伎というのは、私どもの一つの大きな目標、大きな糧となってきている気がします。初年度の時は本当にがむしゃらに突き進み、嵐のように一か月が過ぎていった感じがします。4年目となり、この世代に受け継がせていただいた初年度の時に一緒だったメンバーもまた戻ってきてくれて、舞台も非常に華やかなのではと期待しています。まだまだ未熟ですが、錦之助のお兄さんのお力もお借りして、良い舞台を勤められればいいなと思っております。

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中村歌昇
 
自分自身3年ぶりに浅草歌舞伎に帰ってこれたことを凄く喜んでおります。その間、出ていたメンバーの松也兄さんをはじめ、その方々が土台を作ってくれました。今回はその土台に久しぶりに復帰して、乗っからせていただく形ですが、みんなで頑張って良い舞台を作っていけたらいいなと思います。またこの浅草歌舞伎は、浅草の皆様のお力添えで成り立っております。そういう方々とも協力しながら、浅草という土地で盛り上がっていけたらと思っております。

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坂東巳之助 
松也の兄さん、隼人君、梅丸君、毎年一緒にやってきたメンバーに加えて、最初の年に一緒にやっていたみんなが戻ってきてくれまして、みんなでまた浅草歌舞伎をやっていくことができる事、本当に嬉しく、楽しく思っています。舞台の上ではもちろん仲良しこよしだけではなく、互いに切磋琢磨し合いつつ、みんなで折角なので、新年の浅草の街は賑やかですので、楽しむような時間もあったらいいのかなと思っております。

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坂東新悟 
私も2年ぶりに浅草(歌舞伎)に出演させていただきます。先輩方が本当に大切にされてきた公演です。その先輩方の思いを無駄にしないように、一生懸命勤めさせていただきたいと思っております。また、歌昇さんも仰いましたが、浅草の街の方々の協力が非常に大きい公演ですので、その期待を裏切らないように、しっかりと僕たちはお芝居で街に還元していけるように、街全体を盛り上げるつもりで、一生懸命お芝居に精を出したいと思います。

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中村種之助 
久々に浅草公会堂、浅草歌舞伎に出させていただきますこと、そしてこの皆さんと一緒に舞台に出させていただきますこと、本当にありがたく思っております。前回出させていただいたのは、ちょうど世代交代の時で、みんなで切磋琢磨して一緒に頑張っていこうという気持ちで勤めていましたが、今回は、僕らが出ていなかった間に浅草歌舞伎を守ったというか、自分たちのものにした皆さんの中に戻るということですので、新たにその時とは違う、挑戦するという気持ちで勤めたいと思っております。

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中村米吉 
私も新悟のお兄様と同じく、2年ぶりに浅草(歌舞伎)に出させていただきます。まずはそれが本当に嬉しく思っております。浅草歌舞伎ですので、我々みんな大きなお役に挑戦させていただきます。先輩方の教えを大切に勤める事はもちろんですが、この機会を楽しみながらひと月を終えられたらなとも思っております。
 
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中村隼人 
本当に錚々たる先輩方が立ってきた浅草の舞台で、毎年舞台を勤められる事を本当に幸せに思っております。また、浅草という街は、新年はより活気づいて熱い街になります。その熱さに負けないように、我々、若手歌舞伎俳優一丸となって、一致団結して舞台を勤めていきたいと思っております。

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中村梅丸 
私は来年で6年連続、この新春浅草歌舞伎に出させていただきまして、今回からこのポスターにも参加させていただいたり、お年玉ご挨拶にも出させていただいたり、色々勉強させていただいています。この歴史ある公演に出させていただき本当にありがたく思いますし、私がさせていただく三つのお役はすべてここにいる先輩方が何かしらなさっていますので、ひと月の間にぜひその先輩方から教わりながら、少しでも成長できる、実りあるひと月にしたいと思っております。

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中村錦之助
 
今回も3年連続、上置きという立場で参加させていただきますが、私もまだ20代というつもりで勤めたいと思っております。また、お正月は歌舞伎座では高麗屋のお兄様(松本幸四郎)たちの三代襲名(披露興行)、国立劇場ではいつもの菊五郎劇団での復活公演、新橋演舞場では(市川)海老蔵さんがまた色々な趣向のお芝居を作っております。それに負けないくらい、浅草も活気がある若手たちで芝居を作っていただきたいと思っております。今回の演目はみなこの若手たちが、将来自分の本役となるようなものばかり。教えてくださる先輩方は、自分たちが先人から教わった歌舞伎の芸を後進に伝えるため、多分命がけでご指導してくださいます。このみんなも、ここでその技術を得て、将来歌舞伎のために、次は自分たちが芸を後進に伝えられるように精進して、将来的には、お正月は一人一人が座頭となれるよう、修業していってもらいたい。それに少しでも力添えができるよう、私もめいっぱい頑張るつもりです。

[質疑応答]
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──若手中心の歌舞伎ですが、他の舞台に比べて楽しみな事、大変な事などは。
松也 若手の公演は、それだけではいけないのですが、必死に無我夢中に芸に対して向かっていくという姿勢。若いうち、しかも初役であればそれは当然ですが、逆に言えば、その時にしか見られないものがあると思います。浅草歌舞伎は、出てくる大役を勤める人のほとんどが初役で、それは浅草歌舞伎でしか観られないのではないかと思います。まだまだ修業の身ですので、させていただくお役に対して、とにかく必死に、また先輩方が教えてくださった事を具現化するというのが一番大変。また、自分たちの責任公演という所ですね。多くの公演が、まだまだ先輩方に支えていただいて、場を頂戴してさせていただいている事が多いですが、(浅草歌舞伎は)おのおのが責任をもって勤めなければいけない場面が多く、お客様にお金を払って観ていただくありがたさも、より実感できます。芸というものとは違う部分で非常に勉強になる所でもありますし、一番の怖さでした。初演の時に一緒に出ていた皆さんはおわかりですが、本当に幕が開くまで誰一人客席にいないんじゃないかという不安に駆られていたので、幕が開いて満員のお客様に迎えられた時は、本当に何とも言えない、僕たちはそれが当たり前のように、先輩方のおかげでそうしてきましたが、お客様に来ていただく事がどれだけありがたいかを実感しました。涙を流すメンバーもいました。その気持ちは今でも忘れないようにしようという風にしています。

──それぞれ、主な初役の魅力と意気込みをお願いします。
松也 私は昼の部(第1部)では「御浜御殿綱豊卿」、夜の部(第2部)では「引窓」の濡髪をさせていただきます。二役とも初めてです。「御浜御殿」は、「忠臣蔵」という日本人にとってかけがえのない物語が軸となっています。その中で、綱豊卿が、次期将軍な訳ですが、浅野家の再興、でも本心としては義士たちに仇討をさせてやりたいという思いがある。勘解由との奥深い台詞のやり取り、助右衛門との探り合いが眼目になると思います。そこで、どれだけ自分の持っている力を存分に出して、勘解由は錦之助さんの胸をお借りして、助右衛門の巳之助君とは真っ向勝負でぶつかり合えるような所までもっていけたらいいと思います。長いですが、気持ちの浮き沈みの流れをお客様にくっきりお見せして、その思いが伝わるように勤めたいです。綱豊卿は(片岡)仁左衛門のお兄さんにご指導いただくので、しっかり勉強して勤めたいです。「引窓」は、自主公演で南方十次兵衛を、今年1月は錦之助のお兄さんと「角力場」をさせていただいて、1年越しにその後の話をするという事で、感慨深いです。今年錦之助のお兄さんが勤められた濡髪をさせていただく訳ですが、歌昇君の十次兵衛も非常に嬉しいし、(中村)吉右衛門のお兄さんにこういった大役を初めてご指導いただくので、それも光栄に思います。「引窓」は義理と人情の物語でもあり、母子の愛の物語。当時は義理と人情を第一に考えるわけですが、実の子という所もある、人間らしい心情というものを繊細に描いた作品ですので、濡髪ももちろん、十次兵衛しかり、それぞれの登場人物がしっかり表現することが大事だと思います。ご指導のお兄さんの話をしっかり聞いて勤めたいと思います。

歌昇 「引窓」の南方十次兵衛を初めて勤めさせていただきますが、播磨屋の家にとってとても大切な作品の一つだと思います。松也のお兄さんが仰った通り、人情と義理と親子の情愛を優しく繊細に描いた作品。ご観劇の後、どこか心がホッとするような所もあり、涙していただく所もあり、切ないお話ですが温かいお話だと思います。南方十次兵衛は、一商人から、お殿様の命を受け、亡き父親の跡を継いで七ヶ村の支配をする庄屋代官の務めをしますが、武士からお侍になる喜びもありますし、長五郎という人物が現れてからどんどん心理が変わっていく所がとても魅力的だと思います。僕自身は十次兵衛を吉右衛門のお兄さんから教えていただきますが、毎回お世話になっていますが、一つ一つ教わった事を出せるように勤めていければいいなと思います。

巳之助 私たちの代で新春浅草歌舞伎をさせていただくようになってから2年の間、あまりちゃんと共演をした事が無いですねと松也の兄さんと話していたら、今年「棒しばり」(舞踊)をさせていただきました。来年は「御浜御殿」で、松也兄さんの綱豊卿、私が助右衛門をさせていただきます。これは打って変わって会話劇ですので、お客様を退屈させないようにしなければいけない。非常に動きの少ない演目なので、お兄さんとお互い芝居をぶつけ合って、気持ちをぶつけ合って、会話劇の中で感情が動いていく面白さというものを、きちんと自分の中で理解した上で勤めないと難しいと思いますので、感じるままではなく理解した上で、お兄さんとお芝居を作り込んで、お客様に楽しんでいただける舞台になればと思います。「京人形」は父(十代目坂東三津五郎)もたびたび勤めていた舞踊の演目です。第2部には種之助君の「操り三番叟」があるので、人形に始まり人形で終わります(笑)。こちらの人形は、新悟君が勤めてくれます。楽しい踊りなので、こういった舞踊をさせていただく時は毎度言っていますが、こちらはお客様が何も考えずに楽しんでいただけるように勤められればと思います。お正月らしく華やかな気持ちで浅草の街に繰り出していただき、街を楽しんでおかえりいただける気持ちになれる作品にと思います。大役ということではこの二つですが、あとの二役も今回初役です。隼人君の「鳥居前」で(逸見)藤太、歌昇君の「引窓」で二人侍(平岡丹平)をさせていただきます。こういったお役もきちんと勤め、仲間たちの支えや力になれてこその浅草歌舞伎ですので、初役四役すべて合わせて、自分の力を出し切れるようにと思っております。

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新悟 私は昼の部(第1部)では「御浜御殿」の江島、第2部で京人形の精を勤めさせていただきます。江島は、米吉さん演じるお喜世の上司のような所で、仕事ができるだけでなく情も人間味もあり、それでいて少しお茶目な所もある、非常に難しい役どころです。時蔵のおじ様に教えていただき、しっかり舞台を締められるように、私のような若輩に勤められる役ではありませんが、精一杯舞台で存在感を出していきたいです。「京人形」は、お客様に明るい気持ちで帰っていただけるように、種之助さんの「操り三番叟」の人形とは趣向が違いますので、別物と思って見ていただいて。人形に心が宿るという趣向ですので、女性らしい動きと、最初のうちは甚五郎(巳之助)との少し男っぽい動きもあるので、その変化を楽しんでいただければと思います。

種之助 私は序幕に「鳥居前」の義経を。日本人なら誰でも知っている人物で、歌舞伎にとっても大切な役柄だと思っております。「義経千本桜」というくらいですから、義経を取り巻く人々の話で、「鳥居前」では、そのお芝居の心を表す役柄だと思います。そういう所を大事に勤めたいです。「京人形」は魂の宿る人形、僕の操り三番叟は、上から糸で操られる人形という趣向を感じていただけるよう、日本舞踊の大らかさと一緒に、お正月らしく華やかに勤めたいと思います。「京人形」のおとくは、歌舞伎界の中でも一、二を争うほどの心の大きい女性です(笑)。

米吉 私は第1部で「御浜御殿」のお喜世という大きなお役を勤めさせていただきます。真山青果の書いた新歌舞伎といわれるジャンルのお芝居ですので、いわゆる古典の歌舞伎とは違った台詞等が出てきますので、まずそれを一生懸命勉強させていただくのと、松也兄さんの側室ですので、兄さんに愛されるお喜世を勤められたらと思っております。「引窓」ではお早というまた大きなお役です。私ども播磨屋一門にとって大切なお芝居です。本当に素敵なお芝居で、これも歌昇兄さんの奥さんです。遊女であった色気を忘れないように、兄さんを、おこがましいですが、支えられるような奥さんをできたらなと思います。

隼人 私は第1部「鳥居前」の佐藤忠信実は源九郎狐を勤めさせていただきます。「義経千本桜」は歌舞伎の中でも本当に由緒があり、三大狂言にも数えられる大作です。義経に種之助君が出てくださり、僕自身も初役で荒事の大役を勤めさせていただきます。江戸歌舞伎を代表する荒事というのは、大らかさ、勢い、太さ、丸さが必要な役どころで、人生で初めて憧れていた荒事という役を(尾上)松緑兄さんに教わって勤めさせていただきますので、自分の新しい境地だと思うので、挑戦する気持ち、作品へのリスペクトを忘れずに勤めたいと思います。主な役はこちらですが、第2部でも種之助君の「操り三番叟」で千歳、「引窓」では巳之助兄さんと二人侍として三原伝造を勤めさせていただきます。自分も第2部は皆さんが主演の舞台に少しでも華を添えられるよう、舞台を締められるよう、しっかり勤めたいと思います。

梅丸 私は第1部で「鳥居前」の静御前、第2部で「操り三番叟」の後見、「京人形」の井筒姫(逃げていくお姫様)を勤めさせていただきます。三役とも初役ですが、代表して静御前の事を申しますと、古典味あふれる歌舞伎の大作で、通し狂言で上演される際に序幕で出てくるのがこの「鳥居前」です。静御前は、その後も通し狂言の間、出てきますが、「鳥居前」の静御前は難しいと先輩方も仰る場面です。私は(中村)魁春旦那に教えていただき、しっかり勤めたいと思っております。第2部の二役も先輩方に教わって頑張って勤めたいと思います。


〈公演情報〉
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『新春浅草歌舞伎』
〈第1部〉
お年玉<年始ご挨拶>
一、「義経千本桜 鳥居前」
二、「元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿」
〈第2部〉
お年玉<年始ご挨拶>
一、「操り三番叟」
二、「双蝶々曲輪日記 引窓」
三、「銘作左小刀 京人形」
出演◇尾上松也 中村歌昇 坂東巳之助 坂東新悟 中村種之助 中村米吉 中村隼人 中村梅丸 中村錦之助 ほか
●2018/1/2~26◎浅草公会堂
〈料金〉1等席9,000円 2等席6,000円 3等席3,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489または03-6745-0888
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/other/play/545




【取材・文・撮影/内河 文】





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