【後編】主宰・中屋敷法仁が語る『柿フェス2017』「こういうところでどんな俳優が生まれているかを見てほしい」

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劇団「柿喰う客」が、10月4日(水)から11月5日(日)まで東京・赤坂RED/THEATERで開催する「柿喰う客フェスティバル2017」

その"柿フェス"について、劇団の主宰であり作・演出を手掛ける中屋敷法仁さんから聞かせていただいたお話を、前・後編にわけてお届けしております!

前編&「柿喰う客フェスティバル2017」の概要はこちら

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「柿喰う客フェスティバル2017」上演作『極楽地獄』仙台公演の様子


このお話の最後には、今回上演する4作品がどんな人にオススメかも語っていただいています。ぜひチケット購入のヒントにしてください!(※当日券だと500円UPですのでお早めに!)

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◆「柿喰う客」に新メンバーが増えた理由

――劇団「柿喰う客」についても伺いたいのですが、去年今年と新しいメンバーが増えたのはどうしてですか?

 もう僕ひとりでは「僕の演劇」を生めなくなっているような気がしていて。これまで僕は子供をつくっているような気持ちで作品をつくってきたんです。でも、僕が子供をつくる時代は実はもう終わるべきで。孫、ひ孫、玄孫に思いを託す努力をする方が、新たな時代に立ち向かうのに相応しい姿勢だと思ったんです。いつまでも自分の実の子というか、自分と密接に関わり合う人にばかりこだわっていると、世界が閉じていくような気がして。今回、「柿喰う客」を見たことない人もメンバーになっていたりするんですけど。これ、すごく難しいことで。「柿喰う客」見続けてます!みたいな人より、見たことないけどやります!みたいな人のほうが「柿喰う客」の世界をどんどん更新してくれそうだな、みたいな。だから、僕の世界を僕だけが広げるんじゃなくて俳優たちに広げてほしいっていう、願いと祈りをこめて集めているところはあります。今回、新しく入ったメンバーもノンキャリアから既にキャリアがある人まで、色々な人がいて。そうやっていろんなメンバーで刺激し合って劇団を太らせていくような。そうしないと僕ら自身が僕らのつくっている「柿喰う客」という狭き砦から出て来られなくなっていく気がします。今は「柿喰う客」っていうホームを壊しながら作っている段階だと思っています。

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「柿喰う客フェスティバル2017」上演作『無差別』の稽古場の様子


――今回上演される『無差別』は、初演(2012年)のときは信頼できる人だけでつくったんですよね?

 その通りです。『無差別』の初演のときは完璧に信じていて、芝居中に足を踏まれても何も思わないようなメンバーでした。結果、すごいものが生まれたんですけど、『それでしかないな』という絶望も感じていて。戯曲の世界とか演出の角度がそれで豊かになったかというと、まだ疑う余地があったんじゃないかな、なんてことを今は考えています。それに、そういう信頼関係を100人くらいと築けたらすごいんじゃないかという野心も抱いています。もちろん人間が増えていくと、演出にかける時間、信頼を築く時間も減るので、人間関係は希薄になるんです。でも希薄になって弱くなるのか、作品の力で濃くなるのか、お客さんに観ていただくことで、さらに強くなるのか。挑戦し続けたい思ったりしていますね。

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「柿喰う客フェスティバル2017」上演作『無差別』の稽古場の様子


◆「柿喰う客」のこれから

――劇団について、ほかにも考えてることはありますか?

 小劇団というものが注目される時代はほとんど終わっていると感じでいます。今はプロデュース公演や2.5次元の製作委員会主体のものが、絶対的に面白いし品質を保証してくれているし。そんな時に劇団はなにを保証するかというと..."異様な集団"かと思うんです。僕はやっぱり集団性から生まれる俳優さん、集団性があるから書けた本、できた演出に魅力を感じます。僕自身、いろんなところでいろんなことを経験させてもらってますが、やっぱり劇団でしか挑めない演劇の戦いがあるなと思っているので。これを続けていきたいし、お客様に目撃してほしいなって思っています。

――目指しているようなものがあるのでしょうか。

どうやら最近の僕は「天井桟敷」(劇団)みたいなものを目指してるらしいので(笑)。演劇はパフォーマンスでありながら、"こういう集団を持ちこういう公演をする"という社会的な活動でもあるので。まあお客様に喜んでいただけなければおしまいなんですけど。こんな11年目で5週間もレッドシアターにこもる「柿喰う客」っていうことにも注目していただきたいなと思います。そしてこういう場所でどんな俳優が生まれているかを、ぜひ見てほしいなと思います。

――プロデュース公演である『柔道少年』や『サクラパパオー』を観て、「あれ、中屋敷さんの作品が気になるな」と思った人にも新しい扉が開く、楽しいイベントになりそうですね。

 楽しいと思います。外部でいろんな演出をやらせていただくんですけど、僕に演劇を教えてくれたのも劇団ですし、僕が今いろんな演出をやっているのもやっぱり劇団でいろんなことを試せたからだし、劇団で育ててもらったという恩がある...恩があるなんて言い方すらするくらいなので。こういうところから今のあいつが出てくるんだなと思って観ていただければ嬉しいです。

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「柿喰う客フェスティバル2017」上演作『無差別』の稽古場の様子


◆タイプ別・オススメ作品

――最後になるんですが、初めて観る人と「柿喰う客」ファン、それぞれにコメントをいただけますか?

 あ、それで言うと4パターンいいですか?

――お願いします!

 「柿喰う客」の名前は知っているけど、観たことない、もしくはDVDでしか観たことない、生で「柿喰う客」を観るのはちょっと怖いなっていう方にはぜひ『八百長デスマッチ』を観ていただきたいです。これが「柿喰う客」のポップでキャッチ―なエッセンスが一番詰まっている作品だなって思います。

 逆に「柿喰う客」はもう見飽きたよ、新しいものが観たいっていう方はぜひ新作『極楽地獄』を観てほしいです。これはとっ散らかっていて、何をやってんだってなるくらいぶっ飛んでるなと思っていたりします。これからの劇団の方向性を感じられると思います。

 小劇団らしい面白い楽しい公演が観てみたいっていう方にはぜひ『流血サーカス』を観てほしい。「これが小劇場芝居か!」と(笑)。もう学生劇団とかね。ああいう小劇場、狭い空間だからできる俳優さんとのコミュニケーションやライブ感。その楽しみを感じられるのが『流血サーカス』だと思います。

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「柿喰う客フェスティバル2017」上演作『無差別』の稽古場の様子


 そして、高品質のものをこのチームに求める『無差別』が一番いいのかなと思います。そういう意味ではお行儀のいい作品(『無差別』)と、お行儀の悪い作品(『流血サーカス』)だと思ってますので(笑)。

 もちろん一番嬉しいのは、二作品くらい観ていただいて、「こんないろんな振り幅があるんだな」っていうことを感じてほしいです。そして、こんな団体がこれからどうするのかという未来にも思いを馳せていただければと思ったりもします。

「柿喰う客フェスティバル2017」は、10月4日(水)から11月5日(日)まで東京・赤坂RED/THEATERで開催!

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