カムカムミニキーナ『狼狽~不透明な群像劇~』間もなく開幕! 八嶋智人・藤田記子インタビュー

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小さなひとつの事件をきっかけとして、時の流れを縦横無尽に乗り越えて物語世界を構築し、現代社会へ鋭い問いを投げかけるカムカムミニキーナ。2017年の本公演『狼狽~不透明な群像劇~』が、6月2日の四日市文化会館での初日を皮切りに、大阪、東京で公演を行う。

【あらすじ】
人気作家のゴーストライター疑惑を追う一人の記者がたどり着いた関東奥地の山村。
時代から取り残されたようなその狭い地域には、狼に命を救われたという、都落ちの悲劇の皇子の伝説が色濃く残る。
どこか後ろめたい空気を漂わせる村人達は一様に犬を飼っていて、四六時中、村には犬の遠吠えが鳴り止まない…
古民家に滞在し、不気味な日々を過ごしながら、記者は件の作家を追い詰めていく。
やがて『狼谷にもう一つの村がある』というメモを残して、その記者は忽然と姿を消したのだった…

「狼狽」というキーワードをもとに、ミステリアスなストーリーが展開していくこの作品を率いるのは、劇団の主力俳優にして外部での活動も目覚ましい八嶋智人と藤田記子。日頃から仲がいい二人に、新作について、また劇団について思うことを語ってもらった「えんぶ6月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

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八嶋智人・藤田記子

片方だけでは危うくなるこの世界
 
──『狼狽』について、お二人はどれくらい概要を聞いていますか?
八嶋 ええと、まさに今、あらすじを読んでいる真っ最中です(笑)。この間、劇団でミーティングがあったので、松村に「次はどんな話にするの?」って聞いたら、「それは、ひとことでは言われへんな」で終わっちゃいましたから。
藤田 あらすじを読んでみても、私としてはよくわからないなと(笑)。やっぱり実際に演じてみるまでは、まったく掴めないですね。
八嶋 「狼狽」という言葉は、どちらの漢字も伝説上のオオカミのことで、一方は前足が長くて後ろ足が短く、もう一方は前足が短くて後ろ足が長い。これらが寄り添って平均を保っているので、どちらかが欠けると危うくなるというのを表しています。この〝バランス〟が、1つの大きなテーマになるだろうと思っています。最近、世情もなんだかきな臭くなってきていますが、生と死、男と女など、どちらか片方ではなく、表裏一体で考えなきゃいけない、と。
──劇団外での活動も多いですが、カムカムはご自分にとってどんな場所なのでしょう?
八嶋 僕にとっては、松村の書くホンは一番難解だし、一番慣れ親しんでいる場所ゆえに、俳優としては何をやっても新鮮味がないという、一番厳しい場所。だからこそ、劇団員はどういうことをやるのか、稽古を見るのが楽しみでもありますね。
藤田 劇団公演は年1回なので、自分が前回からどれだけ成長できているのか、すごく緊張します。八嶋さんや松村さんから「お前、あかんくなったな」という目で見られたら、ホントに終わりだと思うので。私にとって八嶋さんって一番尊敬する先輩で、お会いするたびに変化し続けていて、「すごいな」と思わされるんですよ。いつでも先輩が先に進んでくれているというのが、ありがたいなって思います。
八嶋 いい後輩だね(笑)。僕らはたぶん二人とも我の強いタイプの俳優で、若いころは自分が良ければ満足していたような気がします。でも27年劇団活動をしてきたなかで、「カムカムは、松村の書く世界を体現する劇団だ」と意識が変わってきた。もちろん、自分というのはどれだけ制御しても漏れいづるものだと思いますが、最近は二人とも「より、作品に埋没したい」と思っているんじゃないかと感じますね。

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全部観ていただいて初めて腑に落ちる

──今回の客演陣、ナイロンの新谷真弓さんや姜暢雄さん、KAKUTAの多田香織さん、芹井祐文さんという顔ぶれも非常に魅力的です。
八嶋 新谷さんは手練れな女優さんで、ビジュアルもかわいい。実は昔から松村作品のことをすごく愛してくれていて、理解度も高いんです。
藤田 姜くんは二枚目でカッコいいうえに、独自の発想で妄想を膨らませるのが得意そうなので、刺激をもらえるのが楽しみです。
八嶋 多田さんは作品前半、中心となって引っ張っていく役どころを任されているので、松村の信頼が厚いんだなと思います。芹井くんは以前カムカムに出演しているし、演出助手をやってくれたこともあるから、心強いですね。
藤田 ここ数年、徐々に「ストーリーは複雑だったけど、わかりやすい」と言っていただけるようになってきました。ウチの作品って、とにかく全部を観ていただいて初めて腑に落ちる、というモノなんだと思うんです。
八嶋 言葉でわかりやすく説明できるようなことだったら、演劇にする必要がないですからね。今回は三方囲みの舞台になるそうなので、お客さんにもよりダイレクトに松村の書く世界観を体感してもらえる、そんな作品になると思います!

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八嶋智人・藤田記子

やしまのりと〇奈良県出身。90年、松村武とともに、劇団カムカムミニキーナを旗揚げ。強い個性と鮮やかなセリフ回しキレのあるトークを武器に、舞台のみならず、ドラマや映画などの映像作品、またバラエティ番組においても広く活躍中。劇団以外の最近の出演舞台は『國語元年』『消失』『あたらしいエクスプロージョン』など。

ふじたのりこ〇東京都出身。94年、劇団カムカムミニキーナに入団。ダイナミックな演技で、舞台に大きなうねりをもたらす女優として、多方面で活躍中。08年には劇団拙者ムニエル澤田育子との演劇ユニット「good morning N°5」を立ち上げる。最近の出演舞台は『青木さん家の奥さんⅡ』『イントレランスの祭』『どどめ雪』『中国の不思議な役人』など。


〈公演情報〉
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カムカムミニキーナ
2017本公演
『狼狽 ~不透明な群像劇~』
作・演出◇松村武
出演◇八嶋智人 藤田記子 吉田晋一 長谷部洋子 田原靖子/姜暢雄 新谷真弓(ナイロン100℃)  多田香織(KAKUTA)  芹井祐文 他
●6/2◎四日市文化会館 第2ホール、
6/10・11◎近鉄アート館、
6/17~25◎東京芸術劇場シアタ-ウエスト 
〈お問い合わせ〉 カムカムミニキーナ 090-6328-1076




【取材・文/木下千寿 撮影/安川啓太】



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