企画・脚本・演出・主演で大好きな落語を舞台化!『名人長二』豊原功補インタビュー

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モーパッサンの短編小説「親殺し」をベースに、三遊亭圓朝が新聞連載した『名人長二』。その落語が、小泉今日子が企画製作を行う「明後日プロデュース」の第2弾として舞台化され、5月25日から新宿・紀伊國屋ホールで上演される。(6月4日まで)

企画・脚本・演出・主演という4役で、この作品に挑むのは豊原功補。大好きな落語を題材に、指物師長二郎と彼に関わる人間たちの生き様を描き出す。共演には高橋惠子、山本亨、舞台初出演となる森岡龍、さらにモロ師岡、梅沢昌代、花王おさむという個性溢れる役者たちが並ぶ。そんな注目舞台にかける想いを豊原功補に語ってもらった「えんぶ6月号」の記事を、別バージョンの写真とともにご紹介する。

あまり語られていない人物に光を当てて書く

──今回、「明後日プロデュース」に、企画を持ち込んだきっかけは?
何か新しいものを作っていこうという環境が構築出来始めていたので、自分がやるならこういうものをと、この企画を出したんです。題材は好きな落語から取ろうと決めていて、「名人長二」は昔から志ん生さんのものをよく聞いていたのですが、一般にあまり認知されておらず、舞台化や映像化はもとより、落語としてもほとんど手付かずでしたから、これにしようと。
──原作がモーパッサンだそうですね。それも選んだ理由ですか?
圓朝は他にも「死神」というモーパッサンの短編を使っているという繋がりもありますし、フランスから日本に渡った「親殺し」に対する概念に興味を持ちました。そして結末は書かれていないから色々な終わり方ができる。チャレンジには打ってつけだなと。
──今回、相当アレンジしているのですか?
物語の骨格はそのままですが、原作や志ん生があまり語っていない、少ししか出てこない人たちに光を当てています。それなら書き足すことができるし、自分の思いが乗せられますから。そうすると物語が一色ではなくなって、結末に至ったとき、お客さんが色々なバリエーションで演劇を感じ取ってくれるかなと。
──落語を上演台本にする作業はどんなふうに?
まず最初に、志ん生が語っている「名人長二」を、全部書き起こすところからはじめました。そこから原作と照らし合わせて削るところは削り、自分の創作部分を入れ込んで。そのあと1回寝かせて、忘れて(笑)、時間が経ってからまた削って、けっこう良い地ならしが出来たと思いますし、すごく楽しかったです。
 

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諦めないで、壊して、また作っていくこと

──このあとは演出家になるわけですが、脚本家の自分との闘いはありそうですか?
音楽で言えば作詞作曲をしたわけですから、あとはその曲をどういうグルーヴでとか、ここはシャウトしようとか、ここは楽器だけでいけるとか、自由にやらせてもらう感じですね。
──さらに俳優部分もあるわけですが、長二はやはりやってみたい役でしたか?
落語を聞いているときから、魅力的だなと思っていました。ただ、面白い人物かというとそうでもなくて、堅物で真っ直ぐで、わかりやすい。だから群像劇にして、周りの人間たちが喋っていることや、起きていることで、この作品の訴えたいことを表現できればと。人間は一緒にいても、それぞれ何を見ているか、何を考えているか、話さないとわからないですよね。そういうことを演劇的に見せて、お客さんはそれぞれの捉え方で捉えてくれればと思っているんです。
──話を聞いていると人間への興味が深くて、だから脚本を書きたくなるのでしょうね。
興味はありますね。人間ってなんだろうと常に考えていますから。
──俳優で、音楽も作って、今回は作・演出もする。俳優だけでは表現しきれない衝動があるのでしょうか?
要するに自分に納得しないんじゃないですか。だから衝動を露わにしてみることによって、こんなものかと思えるのか、じゃあ、もう1つ次も出してみようと思うのかで。やっぱり自分が俳優として100%面白いと感じるもの以外は、どこか割り切らないといけないこともありますよね。でも、せっかくこの仕事をしているのなら、この公演のように、どれだけ新しいものを作ったり、世界を広げることができるか。諦めないで、何かを壊して、新しく作ってということをやっていけるか。それを自分がやってないと、人に何か言えないと思っているので。
──とてもアグレッシブな生き方ですね。
そう思います。だからよく怪我するんです(笑)。
 

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とよはらこうすけ○1965年生まれ、東京都出身。1982年に俳優デビュー以降、数多くの映画、ドラマ、舞台に出演し活躍。2007年には、映画『受験のシンデレラ』でモナコ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞。最近の主な出演作は、映画『寄生獣』、『寄生獣/完結編』、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『新宿スワン』、『新宿スワン2』、ドラマ『マザー・ゲーム』、『死の臓器』、『鴨川食堂』、『遺産相続弁護士 柿崎真一』、『Chef~三ツ星の給食~』、『愛を乞う人』、主な舞台出演作は、『ENRON』、『シダの群れ3 港の女歌手編』、『死と乙女』、『シブヤから遠く離れて』など。今後、映画『たたら侍』(5/20公開)、『紅い襷~富岡製糸場物語~』(9月公開予定)が公開待機中。

〈公演情報〉
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明後日プロデュースVol.2 
芝居噺『名人長二』
原案◇ギ・ド・モーパッサン「親殺し」
原作◇三遊亭圓朝「名人長二」 
企画・脚本・演出◇豊原功補
出演◇豊原功補 森岡龍/モロ師岡 梅沢昌代 花王おさむ/菊池均也 神農直隆 岩田和浩 牧野莉佳/山本亨 高橋惠子
●5/25~6/4◎紀伊國屋ホール
〈料金〉6,800円(前売・当日共/全席指定/税込) 
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)